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事業承継をすると
銀行への返済はどうなるの?

はじめに
事業承継は、企業にとって大きな転換期となります。後継者が新たに経営を引き継ぐと、多くの責任や課題が生じますが、その中でも特に重要な要素の一つが銀行への借入金の返済です。この記事では、事業承継が行われた際に、銀行への返済がどのように取り扱われるかについて解説します。
1. 事業承継とは何か?
まずは、事業承継とは何かについて、簡単に解説します。事業承継とは、現在の経営者が後継者に会社や事業の経営権を引き渡すプロセスです。この後継者は、親族や外部の経営者、あるいは従業員である場合もあります。事業承継がスムーズに進行すれば、企業は継続して成長することができますが、承継の過程で多くの問題が生じることがあります。
2. 事業承継時の銀行借入金の取り扱い
事業承継時には、会社が抱える借入金の返済がどのように扱われるかが大きな問題となります。特に銀行からの融資については、以下のポイントに注意が必要です。
2-1 連帯保証人の引き継ぎ
多くの場合、銀行からの融資には経営者自身が連帯保証人として署名しています。これは、会社が返済不能に陥った場合に、経営者個人が返済義務を負うという契約です。事業承継が行われる際、後継者が新たな経営者として融資を引き継ぐ場合、連帯保証人の変更が必要になることがあります。

しかし、銀行が後継者を新たな連帯保証人として認めるためには、後継者の信用力や財務状況が重要な判断基準となります。後継者が十分な資産や経営経験を持っていない場合、連帯保証人の変更が難しくなることがあります。
2-2 借入金の再編
事業承継時に、既存の借入金の条件を見直すこともよくあります。例えば、後継者が経営に不安を感じている場合や、事業の方向性が変わる場合には、銀行と協議して返済期間の延長や利率の調整など、借入金の条件を再交渉することが考えられます。これにより、後継者は経営の立ち上げ期において資金繰りの負担を軽減することができます。

ただし、再編を行う場合でも、銀行が新たな融資条件に同意するためには、後継者の経営計画やビジネスモデルが適切であることを示す必要があります。この際、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家の助言を受けることが重要です。
2-3 新規借入と旧経営者の責任
事業承継後に新たな借入を行う際、旧経営者が引き続き一部の責任を負うことがあります。例えば、旧経営者が今後も顧問として会社に関与する場合、銀行が旧経営者を引き続き連帯保証人として求めることも考えられます。このような場合、新旧経営者間で責任の範囲やリスクを明確にしておくことが重要です。
3. 銀行とのコミュニケーション
事業承継が行われる際、銀行との適切なコミュニケーションが重要です。特に、後継者信用を得るためには、透明性の高い情報開示と信頼関係の構築が不可欠です。以下の点を押さえて、銀行との円滑な関係を築くことが求められます。
3-1 経営計画の共有
後継者は、事業承継後の経営計画をしっかりと立て、銀行に提示することが必要です。これには、今後の事業の方向性、資金計画、返済計画が含まれます。銀行は、この経営計画を基に新たな融資条件を設定したり、後継者に対する信用を判断します。
3-2 財務状況の報告
銀行は、会社の財務状況を常に注視しています。事業承継後も定期的に財務状況を報告し、経営の透明性を保つことが重要です。特に、資金繰りに問題が生じた場合は早めに銀行に相談し、適切な支援を受けることがリスクの回避につながります。
4. 事業承継におけるリスク管理
事業承継時には、多くのリスクが伴います。特に、銀行への返済に関しては、計画的なリスク管理が必要です。
4-1 返済計画の見直し
後継者が経営を引き継ぐ際、会社の現状に合わせた返済計画を見直すことが重要です。例えば、売上の減少や経済状況の変化など、外部環境の影響を考慮して、無理のない返済計画を立てることが求められます。
4-2 事業資金の確保
事業承継後、運転資金や成長資金が不足することがないように、資金調達の選択肢を広げておくことが重要です。これには、融資以外にも補助金や助成金の活用が考えられます。特に中小企業は、これらの公的支援を活用することで、事業承継後の資金繰りを安定させることができます。
まとめ
事業承継において、銀行への返済は重要な課題の一つです。後継者が新たな経営を引き継ぐ際には、連帯保証人の引き継ぎや借入金の再編、銀行との適切なコミュニケーションが求められます。また、リスク管理を徹底し、返済計画や資金調達に対する柔軟な対応が重要です。事業承継を成功させるためには、銀行との協力関係を築き、専門家の助言を得ながら計画的に進めていくことが鍵となります。

制作日:2024年10月

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