2. 事業承継時の銀行借入金の取り扱い
事業承継時には、会社が抱える借入金の返済がどのように扱われるかが大きな問題となります。特に銀行からの融資については、以下のポイントに注意が必要です。
2-1 連帯保証人の引き継ぎ
多くの場合、銀行からの融資には経営者自身が連帯保証人として署名しています。これは、会社が返済不能に陥った場合に、経営者個人が返済義務を負うという契約です。事業承継が行われる際、後継者が新たな経営者として融資を引き継ぐ場合、連帯保証人の変更が必要になることがあります。
しかし、銀行が後継者を新たな連帯保証人として認めるためには、後継者の信用力や財務状況が重要な判断基準となります。後継者が十分な資産や経営経験を持っていない場合、連帯保証人の変更が難しくなることがあります。
2-2 借入金の再編
事業承継時に、既存の借入金の条件を見直すこともよくあります。例えば、後継者が経営に不安を感じている場合や、事業の方向性が変わる場合には、銀行と協議して返済期間の延長や利率の調整など、借入金の条件を再交渉することが考えられます。これにより、後継者は経営の立ち上げ期において資金繰りの負担を軽減することができます。
ただし、再編を行う場合でも、銀行が新たな融資条件に同意するためには、後継者の経営計画やビジネスモデルが適切であることを示す必要があります。この際、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家の助言を受けることが重要です。
2-3 新規借入と旧経営者の責任
事業承継後に新たな借入を行う際、旧経営者が引き続き一部の責任を負うことがあります。例えば、旧経営者が今後も顧問として会社に関与する場合、銀行が旧経営者を引き続き連帯保証人として求めることも考えられます。このような場合、新旧経営者間で責任の範囲やリスクを明確にしておくことが重要です。