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中小企業は役員報酬の金額を
どのように決めるべきか
~金融機関の審査に与える影響~
はじめに
役員報酬の決定は、中小企業にとって経営戦略の一環であり、財務状況や事業計画に深く関わります。また、役員報酬の金額は、金融機関が融資審査を行う際の重要な要素の一つです。本記事では、適切な役員報酬の設定方法と、その金額が金融機関の審査に与える影響について解説します。
1. 役員報酬を決定する際の基本ポイント
役員報酬を決定する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
1-1 会社の財務状況に基づく設定
役員報酬は、会社の利益に見合った範囲で設定する必要があります。過剰な報酬は、企業のキャッシュフローを圧迫し、運転資金の不足を引き起こすリスクがあります。
1-2 事業計画との整合性
事業計画に基づき、必要な投資や運転資金の確保を優先した上で、適切な報酬額を設定しましょう。事業が成長段階にある場合、報酬を抑えて利益を再投資する選択肢も考えられます。
1-3 法的規制への準拠
日本の法人税法では、役員報酬は「事前に定められた額」であることが必要です。役員報酬を変更する場合は、株主総会の決議を経るなど、適切な手続きを踏む必要があります。
2. 役員報酬の金額が金融機関の審査に与える影響
役員報酬は、金融機関が企業の信用力を評価する際の重要な指標となります。そのため、以下の点を意識して設定することが求められます。
2-1 財務の健全性
金融機関は、役員報酬が企業の利益に対して適正かどうかを確認します。役員報酬が利益に比して高すぎる場合、経営の健全性に疑問を持たれる可能性があります。
2-2 キャッシュフローへの影響
役員報酬が過剰であると、会社のキャッシュフローが悪化し、融資の返済能力に悪影響を及ぼす可能性があります。金融機関は、キャッシュフローについても注視して審査を行うため、安定的なキャッシュフローを維持することが重要です。
2-3 経営者の責任感
役員報酬の設定は、経営者の企業運営に対する責任感を示すものと見なされることがあります。過度に低い報酬や高い報酬は、金融機関に対して経営責任への疑念を抱かせることもあります。
3. 適切な役員報酬の設定方法
役員報酬を適切に設定するための具体的な方法を以下に示します。
3-1 市場調査を行う
同業他社や同規模の企業の役員報酬を参考にして、適正範囲の報酬の目安を立て、自社の状況に合った金額を設定することができます。
3-2 利益に基づく変動報酬制度の検討
会社の利益に応じて役員報酬を変動させる制度を導入することで、財務状況に応じた柔軟な対応が可能になります。ただし、税法上の規定には注意する必要があります。
3-3 専門家に相談する
税理士等に相談し、税務上の観点と金融機関からの評価の観点から有益となる報酬額を設定しましょう。
4. 役員報酬を通じた経営の健全化
適切な役員報酬を設定することで、以下のようなメリットが期待できます。
財務基盤の強化:
企業利益を蓄積し、事業拡大やリスク対応に備えられる
金融機関からの信用力向上:
適正な報酬設定が、金融機関での審査にプラスに働く可能性がある
従業員や取引先からの信頼獲得:
経営者としての責任感を示すことで、周囲からの信頼を得やすくなる
5. 役員報酬と税務のバランス
役員報酬は、税務上の負担も考慮する必要があります。
5-1 給与所得控除を活用
一般的に、給与所得控除を最大限活用できる報酬額を設定することで、法人税と所得税の負担を最適化できる可能性があります。
5-2 配当とのバランスを検討
役員報酬を高額にしすぎるよりも、適切な配当とのバランスを考えることで、株主や役員全体の利益を最大化できる可能性があります。
5-3 将来の税制改正への備え
税制改正による影響を見越して柔軟に対応できる報酬体系を設計することも重要です。
まとめ
役員報酬は、企業経営の透明性と健全性を示す重要な指標です。また、金融機関の審査においても適正な役員報酬はプラスにはたらく可能性があります。適切な報酬設定を行うためには、会社の利益や財務状況を正確に把握し、専門家の助言を活用することが効果的です。役員報酬を経営戦略の一環として捉え、持続可能な経営を目指しましょう。
まずは、自社の財務状況を確認し、役員報酬が事業計画や金融機関の審査基準に合致しているかを見直すことから始めてください。
制作日:2025年1月
※本内容は制作日時点の情報を基に作成しております、また、記事の情報は当行が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その確実性を保証したものではございません。
※記事は外部有識者の方等にも執筆いただいておりますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当行の見解を示すものではありません。
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