4. ファクタリングのデメリット・注意点
4-1 手数料がかかる
ファクタリング会社に支払う手数料は、売掛金の数十パーセントとなる場合があります。特に2社間ファクタリングは、ファクタリング会社にとってのリスクが高いため、手数料も割高になる傾向があります。結果的に受け取れる金額が減るため、コストに見合う効果があるか事前に検討が必要です。
4-2 信用情報への影響は少ないが、取引先に知られたくない場合もある
3社間ファクタリングでは、取引先にファクタリングの利用を通知します。「資金繰りが苦しいのでは?」と勘繰られ、今後の取引に影響する可能性はゼロではありません。2社間ファクタリングなら取引先に知られるリスクは低いものの、手数料が高くなる点がネックです。
4-3 悪質な業者も存在する
ファクタリング市場は近年拡大している反面、不当に高い手数料を請求する悪質な業者が存在するのも事実です。金融庁の登録状況や、実績、口コミなどをしっかりチェックしたうえで、安心できる業者を選ぶ必要があります。
5. どんな時にファクタリングを利用する?
5-1 急な支払が重なったとき
給与や仕入、外注費など、月末や期末に経費支払が集中するケースは多々あります。入金タイミングが先になってしまう売掛金をファクタリングで現金化すれば、一時的な資金ショートを回避しやすくなります。
5-2 新規案件や大型受注が増えたとき
受注が増えると同時に材料費や人件費などの先行支出が膨らみ、手元資金が不足するリスクがあります。ファクタリングを活用すれば、入金サイクルを短縮して成長機会を逃さずに事業拡大が可能になります。
5-3 銀行借入の審査が厳しいとき
銀行借入の申込をしても、業績不振や過去の債務状況などで審査が通らないことがあります。ファクタリングは、融資とは異なる審査基準を持つため、別の選択肢として検討する価値があります。
5-4 取引先の倒産リスクに備えたいとき
ノンリコース型のファクタリングを利用すれば、取引先が倒産した場合のリスクをファクタリング会社に移転できる場合があります。自社が受けるダメージを軽減できる点で、リスク管理の一手段として役立ちます。
6. ファクタリングを利用する際のポイント
6-1 信頼できる業者を選ぶ
金融庁の登録状況や手数料体系、口コミなどを調べ、トラブルのリスクを最小限にしましょう。複数社から見積もりを取ることもおすすめです。
6-2 2社間か3社間かを検討する
取引先への通知が必要か、どの程度の手数料が妥当かなど、自社の状況に合ったスキームを選びましょう。
6-3 手数料のコスト計算を行う
ファクタリングによって得られるキャッシュと、発生するコスト(手数料)をしっかり比較検討し、事業全体の収支に与える影響を考慮する必要があります。
6-4 資金繰りの抜本的改善も忘れずに
継続的に資金繰りを改善するには、回収サイトや支払サイトの見直し、経費削減、在庫管理の徹底など、根本的な対策が欠かせません。
まとめ ―ファクタリングは資金繰りの味方になり得る
ファクタリングは、銀行借入とは異なる角度から資金調達が行えるため、特に「売掛金はあるが、手元の現金がすぐに必要」といったケースで有効です。ノンリコース型であれば、倒産リスクをカバーできる場合もあり、上手に活用すれば経営安定に寄与するでしょう。
一方で、手数料負担が生じる、悪質業者の存在など、注意すべきポイントも少なくありません。利用を検討する際には、信頼できるファクタリング会社を選び、契約内容(手数料率や償還請求権の有無など)をしっかり確認することが大切です。
ファクタリングは便利な資金調達方法である一方、あくまでも「一時的なキャッシュ不足を乗り切る」ための手段という側面が強いもの。抜本的に資金繰りを改善するには、売掛・買掛の管理体制や経費削減、人件費の最適化など、多角的な施策を進めることが欠かせません。ぜひファクタリングの活用を含めた総合的な資金戦略を練り、安定したキャッシュフローを目指してみてください。
制作日:2025年3月
※本内容は制作日時点の情報を基に作成しております、また、記事の情報は当行が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その確実性を保証したものではございません。
※記事は外部有識者の方等にも執筆いただいておりますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当行の見解を示すものではありません。
※尚、記事の内容は予告なしに変更することがあります。