4. 資金繰り表を作る際の5つのコツ
4-1 期間を細かく設定する
「毎月1回、月末にまとめて見直す」というスタイルでも良いのですが、資金繰りがシビアな時期こそ、できる限り細かいスパンで管理することをおすすめします。場合によっては週単位、日単位でチェックすると、入金と支払のズレに素早く対応しやすくなります。
4-2 入金サイクルと支払サイクルを正確に把握する
- 入金サイクル
掛売上の回収日、現金売上の入金日、クレジットカード決済の入金タイミングなど
- 支払サイクル
仕入先への支払日、給与支給日、借入金の返済日など
これらを一覧化し、「どのタイミングでいくら支払が生じるか」を具体的に書き出すことが大切です。特に入金については「大体この月には入る」という曖昧な記載ではなく、「◯月◯日に○○円が入金」という形まで落とし込むと、より正確に資金繰りが見えてきます。
4-3 確定事項と予測事項を分けて書く
現時点で金額や日付が確定している入出金と、将来の予測や概算ベースの入出金を区別して記載すると、資金繰り表の信頼性が高まります。たとえば、仕入先への支払は確定しているが、売上はまだ交渉中で確定額ではない、というケースはよくあります。その場合は「仮の数字」として補足を入れるなど、曖昧な要素を明示しておきましょう。
4-4 イレギュラーな支出・収入も忘れずに
賞与(ボーナス)の支給や税金の支払、機械設備の更新など、大きな出費は年に数回しか発生しないケースが多いです。意外と見落としやすいので、事前に把握しておかないと「思わぬタイミングで大きな支払が発生し、資金がショートした」という事態になりかねません。忘れずに資金繰り表に入れておきましょう。
4-5 定期的に見直し・更新する
資金繰り表は一度作って終わりではありません。売上が予想を上回ったり下回ったりすることは日常茶飯事ですし、外部環境が変わって取引先からの入金がずれ込むこともあります。そのため、最低でも毎月1回、理想は週1回程度の頻度で更新して、最新のキャッシュの流れを常にチェックすることが大切です。
5. 資金繰り表の作成手順
最近では、会計ソフトやクラウド会計サービスが充実しており、自動で入出金を取り込み、資金繰り表を生成してくれるものも増えてきました。具体的には以下のような点でサポートが期待できます。
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銀行口座やクレジットカード決済のデータ自動連携
手作業での入力ミスや手間を大幅に削減できる。
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入出金のカテゴリ分け
ソフトが自動で勘定科目を提案してくれるので、仕訳作業がスムーズ。
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将来のキャッシュフロー予測
過去の実績データをもとに、売上の増減傾向や経費を自動予測してくれる機能があるツールも存在します。
ツールを導入しない場合でも、エクセルで十分対応可能です。テンプレートを自作したり、インターネット上の無料テンプレートを活用したりして、まずは自社に合った形式を模索すると良いでしょう。
まとめ ―資金繰り表で“お金の見える化”を
資金繰り表を作成する大きな意義は、「今後、いつ、いくらお金が不足する可能性があるのか?」を明確にし、事前に手を打てるようになることです。以下のポイントを押さえながら、ぜひ実践してみてください。
(1) 短期の現金収支を可視化
損益計算書や貸借対照表だけでは見落としがちな“タイミングのズレ”を把握できる。
(2) 具体的な入金と支払を時系列で整理
「◯月◯日に◯円入金、◯円支払」という形で、細かく分類するのが重要。
(3) 確定と予測を分ける
金額や時期が確定している入出金と、曖昧なものを区別することで精度が高まる。
(4) 大きな支出(税金やボーナス、設備投資)も忘れずに
年に数回しかない出費は見落としやすいので、リストアップしておく。
(5) 定期的に更新して精度を保つ
毎週・毎月といった短いサイクルで見直す習慣をつけると、経営判断がスピーディーに。
資金繰り表を日頃から管理しておくと、「今月は資金的に余裕があるから新しい設備を導入しよう」「2か月後に資金が不足しそうだから、融資を検討しよう」といった具体的な打ち手が明確になります。
また、金融機関にも「資金繰り管理がしっかりしている企業」と評価されやすくなるでしょう。
もし作成に不安がある方は、まずは小さく始めてみるか、税理士や会計事務所などの専門家にアドバイスを求めるのも良い手段です。会社の“血流”とも言える資金をしっかり把握し、安定した経営を目指していきましょう。
制作日:2025年3月
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