記事の画像

知っておきたい担保と保証の違い

はじめに
資金調達の場面でよく耳にする「担保」と「保証」という言葉。どちらも借り手が返済能力を証明するための手段ですが、その具体的な内容や役割には大きな違いがあります。本記事では、担保と保証の違い、それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説をしていきます。
1. そもそも担保とは?
担保とは、借り手が返済を確約するために提供する資産のことを指します。金融機関に対して、借りたお金が返済できなくなった場合に備えて、特定の資産(不動産や有価証券など)を差し出すことで、借入金の返済を保証します。担保には主に以下の種類があります。
  • 不動産担保:
    不動産担保は、住宅ローンなどで最も一般的な形態です。借り手が所有する土地や建物を担保として差し出します。不動産はその価値が比較的安定しているため、金融機関にとってリスクが低く、借り手にとっても比較的低い金利での借入が可能となります。
  • 有価証券担保:
    有価証券(株式や債券など)を担保にする方法です。市場価値が明確であり、売却も容易なため、金融機関にとってはリスクが低い担保とされています。しかし、株価の変動などによって価値が変動するリスクもあるため、金融機関はその点を考慮して評価を行います。
  • 動産担保:
    動産(自動車や機械設備など)を担保にする方法です。中小企業の資金調達でよく利用されますが、動産は価値が変動しやすく、保管や管理の手間もかかるため、評価額は低めになることが多いです。
2. 担保のメリットとデメリット
メリット
  1. 低金利:
    担保を提供することで、金融機関のリスクが減少し、低金利での借入が可能となります。
  2. 高額の借入が可能:
    不動産や有価証券を担保とすることで、比較的大きな金額の借入が可能です。
  3. 借入期間の延長:
    長期間の返済計画が組みやすくなるため、返済負担が軽減されます。
デメリット
  1. 資産を失うリスク:
    返済が滞ると、担保として差し出した資産が差し押さえられるリスクがあります。
  2. 評価額の変動:
    不動産や有価証券の価値が下がると、追加担保を求められる場合があります。
  3. 手続きの煩雑さ:
    担保設定には専門的な手続きが必要であり、時間と費用がかかることがあります。
3. そもそも保証とは?
保証とは、借り手が返済できない場合に備えて、第三者(保証人)が代わりに返済を行う制度です。保証には主に「個人保証」と「法人保証」があります。
  • 個人保証:
    個人保証は、親族や知人など個人が保証人となる形態です。借り手が返済不能になった場合、保証人が代わりに返済義務を負います。保証人は自らの財産を担保にするわけではありませんが、返済義務は法的に強制されます。
  • 法人保証:
    法人保証は、企業が保証人となる形態です。特に中小企業が融資を受ける際に、親会社や関連会社が保証人となるケースが一般的です。法人保証は個人保証と異なり、企業全体の信用力が問われるため、保証を引き受ける企業にとっても大きな責任が伴います。
4. 保証のメリットとデメリット
メリット
  1. 担保不要:
    保証の場合、担保としての資産を差し出す必要がありません。
  2. 柔軟な対応:
    保証人がいることで、金融機関との交渉がスムーズに進むことがあります。
  3. 返済計画の柔軟性:
    保証人の信用力により、返済計画の変更や延長が認められる場合があります。
デメリット
  1. 保証人の負担:
    借り手が返済不能になると、保証人が大きな負担を負うことになります。特に個人保証の場合、保証人の生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
  2. 保証人の信用リスク:
    保証人が返済義務を果たせない場合、その信用力が低下し、将来的な資金調達に悪影響を及ぼすことがあります。
  3. 保証契約の複雑さ:
    保証契約には法的な要件が多く、保証人の権利や義務を明確に理解する必要があります。
5. 担保と保証の使い分け
資金調達の場面で、担保と保証のどちらを選ぶべきかは、借り手の状況や目的によります。以下に、状況に応じた使い分けのポイントをいくつか挙げてみます。
担保を選ぶべき場合
  1. 低金利での借入を希望する場合:
    担保を提供することで、金融機関のリスクが減少し、低金利での融資が受けやすくなります。
  2. 高額の借入が必要な場合:
    不動産や有価証券を担保にすることで、比較的大きな金額の融資が可能です。
  3. 返済期間を長期に設定したい場合:
    金融機関が長期間の返済計画を受け入れやすくなります。
保証を選ぶべき場合
  1. 担保資産がない場合:
    保証を選ぶことで、資産を担保にすることなく融資を受けることができます。
  2. 迅速な資金調達が必要な場合:
    担保設定には時間がかかることがありますが、保証の場合は比較的迅速に資金調達が可能です。
  3. 柔軟な返済計画を希望する場合:
    保証人の信用力により、返済計画の変更や延長が認められる場合があります。
まとめ
担保と保証は、資金調達において重要な役割を果たす手段です。それぞれにメリットとデメリットがあり、借り手の状況や目的に応じて適切な方法を選ぶことが求められます。担保は主に低金利での高額借り入れに適しており、保証は担保資産がない場合や迅速な資金調達に適しています。資金調達を検討する際には、これらの違いを理解し、最適な方法を選ぶことが成功の鍵となります。
以上が「知っておきたい担保と保証の違い」についての解説です。この記事が資金調達を考える際の参考になれば幸いです。

制作日:2024年8月

※本内容は制作日時点の情報を基に作成しております、また、記事の情報は当行が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その確実性を保証したものではございません。
※記事は外部有識者の方等にも執筆いただいておりますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当行の見解を示すものではありません。
※尚、記事の内容は予告なしに変更することがあります。
/に戻る画像