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補助金・助成金の基礎知識と
気を付けるべきポイント

はじめに
補助金や助成金は、中小企業が新規事業を立ち上げたり、設備投資を行ったりする際に非常に役立つ資金調達手段です。しかし、その制度の仕組みや注意点を理解していないと、受給できなかったり、後々返還を求められるケースもあります。本記事では、補助金・助成金の基礎知識と、申請・受給時に気を付けるべきポイントについて解説します。
1. 補助金と助成金の違い
補助金と助成金は似たような意味で使われることが多いですが、制度上の違いがあります。
  • 補助金:
    補助金は特定の事業やプロジェクトを支援するために国や地方自治体から支給されるもので、申請しても必ず受け取れるものではありません。審査を通過する必要があり、事業の成果や効果を評価された場合にのみ交付されます。
  • 助成金:
    一方、助成金は一定の要件を満たすことで比較的簡単に受給できるものが多いです。特に中小企業の雇用や人材育成、環境対策などの取り組みを支援するための制度が多く、条件に適合すれば申請者全員が受け取れる可能性があります。
このように、補助金は競争的な要素が強い一方、助成金は要件を満たせば受給できる点で異なります。
2. 補助金・助成金の種類
中小企業が活用できる補助金・助成金には多くの種類があり、主に以下のカテゴリに分けられます。
  • 事業拡大支援:
    新規事業や既存事業の拡大に使える補助金や助成金。例えば、ものづくり補助金や地域創生関連の助成金などです。
  • 雇用・人材育成:
    従業員の雇用やトレーニングを支援するもの。雇用調整助成金や人材開発支援助成金が代表例です。
  • 設備投資・技術導入:
    生産設備や新技術の導入を促進するためのもの。設備投資補助金や技術革新助成金などが該当します。
これらは年々内容や要件が変わることがあるため、最新情報を定期的に確認することが重要です。
3. 申請プロセスの概要
補助金・助成金の申請には、いくつかの段階があります。
  • 情報収集:
    まず、自社の事業やプロジェクトに合った補助金・助成金を探すことが重要です。政府や自治体の公式サイト、商工会議所の情報などが参考になります。
  • 要件確認:
    各補助金・助成金には対象となる事業や企業規模、期限などの要件があります。これらを満たしているかを確認する必要があります。
  • 申請書の作成:
    申請書には、事業の計画書や資金計画、予算の内訳などを記載する必要があります。ここで、事業の目的や意義、期待される成果を明確に示すことが重要です。
  • 審査・採択:
    補助金の場合は審査が行われ、採択されるかどうかが決まります。助成金の場合は、審査が比較的緩やかですが、要件を満たしているかの確認が行われます。
  • 事業実施・報告:
    補助金・助成金を受け取った後は、事業を実施し、その結果を報告する義務があります。これを怠ると、受給した資金を返還しなければならない場合があります。
4. 気を付けるべきポイント
補助金や助成金を活用する際には、以下の点に注意する必要があります。
4-1 申請要件を詳細に確認する
申請前に、補助金や助成金の要件を正確に確認することが大切です。特に、期限や事業内容、企業の規模などが条件に合致しているかを確認し、必要書類を揃えることが重要です。多くの場合、要件に適合していない際には申請が無効となるため、注意が必要です。
4-2 不正受給に注意する
補助金や助成金を不正に受給することは、法律で厳しく罰せられます。例えば、虚偽の申請書類を提出したり、事業の成果を偽ったりすることは、重大な法的リスクを伴います。結果として受給した金額の返還を求められるだけでなく、罰金や企業としての信用低下にも繋がるため、正確かつ誠実な申請を行うことが重要です。
4-3 事業報告の重要性
補助金や助成金を受け取った後、事業が完了した際には必ず報告を行う必要があります。この報告は、事業の進捗や結果、予算の使用状況について詳細に記述するもので、不十分な報告や誤った報告があると、補助金の返還を求められる可能性があります。報告作業には時間がかかることもあるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。
4-4 コンサルタントの利用を検討する
補助金や助成金の申請は、非常に複雑な手続きを伴うことが多いため、専門家の助けを借りることも一つの選択肢です。特に、複数の補助金や助成金を同時に申請する場合や、大規模なプロジェクトに関わる場合、コンサルタントや税理士のアドバイスを受けることで、よりスムーズに申請プロセスを進められる可能性があります。
まとめ
補助金や助成金は、中小企業にとって非常に有効な資金調達手段ですが、その申請には時間や労力がかかります。制度の内容や申請要件をしっかりと把握し、正確な情報をもとに申請することが成功の鍵です。また、受給後の報告や不正受給に対する注意も怠らず、信頼を保ちながら事業を進めることが大切です。
このような基本的な知識と注意点を理解し、補助金・助成金を上手に活用して、企業の成長に役立てましょう。

制作日:2024年10月

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