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資金調達の際に知っておきたい
金利と手数料の考え方

はじめに
中小企業やスタートアップが成長するためには、事業拡大や新しい設備の導入などのために資金調達が不可欠です。しかし、資金調達には常に費用が伴います。これらの費用は主に金利(利息)と手数料という形で発生します。金利や手数料の正しい理解は、資金調達の成功と企業の健全な財務運営に不可欠です。本記事では、資金調達の際に押さえておくべき金利と手数料の基本的な考え方について解説します。
1. 金利の基本的な考え方
1-1 金利とは?
金利とは、借りた資金に対して発生する利息の割合を示したものです。例えば、100万円を金利(年率)5%で1年間借りた場合、5万円の利息が発生します。これは、資金のコストとして考えるべき重要な要素です。
金利は、融資の種類や借り手の信用力、経済状況などによって異なることが多いです。したがって、借入先によって提供される金利を比較することが、資金調達の際には重要です。
1-2 実質金利と表面金利の違い
資金調達の際には、表面金利だけでなく、実質金利も確認することが重要です。表面金利は単純な利息率を示しますが、実質金利はそれに加えて、その他の費用(例えば手数料や保証料など)も含めたトータルのコストを示します。
例えば、表面金利が4%のローンであっても、手数料が高額な場合、実質的なコストはそれ以上となることがあります。このため、借入の全体的なコストを把握するためには、実質金利を確認することが不可欠です。
1-3 固定金利と変動金利
金利には「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。固定金利は、借入期間中ずっと同じ利率が適用されるもので、返済計画が立てやすいというメリットがあります。一方で、変動金利は市場の金利変動に応じて利率が変わるため、金利が低い時期に借りれば有利ですが、将来的に金利が上昇するリスクもあります。
どちらを選ぶべきかは、企業のリスク許容度や将来の金利予測に基づいて判断する必要があります。短期間の借入であれば変動金利が有利な場合が多く、長期間にわたる借入の場合は固定金利が適していることが多いです。
2. 手数料の基本的な考え方
2-1 手数料とは?
手数料とは、資金調達に関連して発生するさまざまな費用の総称です。これには、融資手続きにかかる手数料、保証料、事務手数料などが含まれます。手数料は一見小さな金額に見えるかもしれませんが、積み重なると大きなコストとなるため、注意が必要です。
2-2 手数料の種類
手数料には多くの種類があります。以下に代表的なものを紹介します。
  • 融資手数料: 借入の際に金融機関が設定する手数料。ローンの審査や契約にかかる費用です。
  • 事務手数料: 書類作成や手続きに伴う費用で、金融機関や仲介業者に支払います。
  • 保証料: 信用保証協会などの第三者機関を通じて保証を受ける際に発生する費用。中小企業が融資を受けやすくするための手段として利用されますが、保証料は融資の一部として大きな負担となることがあります。
  • 前払手数料: 一部の資金調達方法では、借入前に支払う必要がある手数料です。前払手数料は、キャッシュフローに影響を与えるため、注意が必要です。
2-3 手数料と総費用の関係
手数料は金利とは別に計算されますが、総費用に大きく影響します。特に、手数料が多くかかる場合、見かけ上の金利が低くても、実際のコストは非常に高くなる可能性があります。これが先述した「実質金利」に反映される要素の一つです。

たとえば、融資を受ける際に5%の利息に加えて、10万円の手数料がかかる場合、実質的なコストは利息だけではなく、手数料分も考慮しなければなりません。資金調達の際は、こうした手数料を見逃さず、総費用を把握することが大切です。
3. 資金調達時に金利と手数料をどう比較するか
3-1 複数の資金調達手段を比較する
資金調達にはさまざまな方法があります。例えば、銀行融資、ベンチャーキャピタルからの出資、クラウドファンディングなどです。それぞれの手段には異なるコスト構造があるため、単純に金利や手数料だけでなく、全体的な資金調達の条件を総合的に比較することが重要です。

銀行融資の場合、金利が低いことが多いですが、審査が厳しく手数料がかかることがあります。一方、ベンチャーキャピタルからの出資は金利が発生しませんが、株式を譲渡するため、将来的な利益配分が必要です。また、クラウドファンディングは手数料が高めに設定されていることがありますが、幅広い支持を得られることで、信用力の向上にもつながります。
3-2 返済期間に応じたコストのシミュレーション
資金調達の際には、返済期間に応じてどのくらいのコストが発生するかをシミュレーションすることも重要です。例えば、短期間で返済する予定であれば、利息の負担は軽減されますが、手数料の割合が大きくなることがあります。逆に、長期間にわたって返済する場合は、金利が大きな負担となるため、低金利の資金調達手段を選ぶことが重要です。
3-3 借入条件の見直しと交渉
資金調達時には、借入条件を見直し、金融機関と交渉することも大切です。特に、長期間の取引実績がある場合や、担保を提供できる場合には、より有利な条件で資金を調達できる可能性があります。
まとめ
資金調達において、金利と手数料の理解は不可欠です。単純に低金利を選ぶだけではなく、手数料やその他の費用も含めた実質的なコストを把握することが、健全な財務運営につながります。資金調達を行う際には、これらの要素を総合的に考慮し、最適な選択をすることが成功への鍵となります。

制作日:2024年10月

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